[恋]




 失恋によりとそして二郎との別れを経験した私でしたが、高校卒業後は晴れて大学へと入学しキラキラした女子大生ライフを送っていました。しかし不思議と大学で仲良くなった友人たちは皆ラーメン好きばかり。とゆーかラーメンて基本みんな好き。ラーメン大嫌い!なんてゆー人は今までの人生で出会ったことがない!みんなに愛され、各々がラーメンに対して何かしらこだわりを持っている、そんなラーメン。アーメン。私のラーメンに対するこだわりはいったいなんだろうか…あなたのこだわりは何?


そんなことを仲間たちと討論していた時、そのうちの一人が「ラーメン二郎」という言葉を出したのだ。


 


出た。二郎で出ました!お久です!


 


はいはい二郎ねーと流しつつも、私は内心その響きがなんだかとても懐かしく思えて急にひとりセンチメンタルな気分になった。青春のしょっぱさと油っぽさがつまった二郎。


 


あの片思いの彼は今何をしているのだろうか。


あのあと彼女とは府中店に行ったのだろうか。


果たして彼女は完食したのだろうか…。


完食?…そうだ、私はあの日完食して…!!


 


 やはりそれは突然だった。例の曲のイントロが流れる。あの日あの時あの場所で、二郎を完食した満足感と達成感、間違いなく心も体も満たされていたはず。なのにどうして、どうして私は二郎から離れたんだろう…


今なら、もっと上手く二郎と付き合うことができるんじゃないだろうか。


確かめたい!もう一度、あの味を!!


 


その二郎好きだという友人はジロリアンであるという。ジロリアン?なんだジロリアンて。その友人がいうには二郎を食べる際にもジロリアン的作法があるらしい。その話にラーメン好き一同は大変興味を示し、私はというと二郎との再会を願う想いが最高潮に達していた。そして満場一致で、その日学校帰りにみんなで二郎を食べに行こうということになったのです。当時通っていた大学は成城にあったのですが、近くだとラーメン二郎仙川店があるのでそこへ行くことになりました。そう、仙川店といえば、私がまだ幼き頃にトラウマを抱えることとなったあの噂の現場。

「大丈夫、府中店で克服したはずだ。」


私は心の中で強くつぶやきました。 

 仙川駅を降り線路沿いにまっすぐ歩きパン屋を越えると、懐かしいあの匂いがした。青春の香り。この頃にはすでに私は引越していたので仙川店を見るのも久しぶりでした。相変わらずの行列。思えば私は行列に並ぶのは初めてでした。府中店でも歌舞伎町店でも並ばずに食べれたのです。

 初めて列に並ぶ。時間が経てば経つほど空腹とそれを増す期待でいっぱいになっていく。ようやく店内に入り券を買う。コップに水を注ぎそれを持って席に着く。カウンターに券を差し出す。そして、じっと店主の動きを目で追う。妙な緊張感が漂う店内。かつてラーメンを待つのにこれほど緊張したことがあっただろうか。数分後、

店主「にんにくいれますか?」

二郎はにんにくいれてこそ二郎とジロリアンの友人に言われたので、私は「はい」と答えた。そういえば今までにんにくをいれたことがなかったな、と過去の二郎の記憶がよみがえる。

そしてついに盛り溢れた野菜ののったソレが目の前に姿を現した。


久々の二郎との再会


相変わらずやんちゃな奴だ。やんちゃボーイ二郎だ。


元気そうでよかった。


ねぇ、私たちこれはいったい何度目の正直なのかな?


しまい込んでいた想いが、今解き放たれようとしている。


 


とりあえず一口目、野菜を掻き分け麺をすすってみた。

「?」


さらに野菜を食べつつ麺をすする。

「?!」


う、うまい!

なんやこれわ…!

その後はあまり記憶にない。

とにかく野菜を食べた。とにかく麺を掘り出して食べた。ぶたを食べた。食べた食べた。食べまくった。夢中になって


食べた。


 


もちろん、完食した。


 


食べ終えるとすぐ器をカウンターへ下げテーブルを布巾で拭き、そそくさと店を出る一同。

満腹すぎて誰も何もしゃべる気にもならない。
私はというと、しばらく二郎の余韻に浸っていた。

 


 その日は早々家に帰り、にんにくくさいとの母の指摘も華麗にスルーし、部屋で一人二郎を思い出していた。残るニンニクの匂いと共に。


まるで二郎に恋に落ちたかのように…。


 


続く…